日本人配偶者等の在留資格が認められるケースとしては以下のものがあります。
(1)日本人の配偶者 (2)日本人の特別養子 (3)日本人の子として出生した者 |
(1)日本人の配偶者
日本人の配偶者としてビザ(在留資格)を取得するのは、簡単ではありません。就労ビザ(在留資格)を取得できない外国人が、日本人と偽装結婚して日本での就労の権利を取得しようとするケースは少なくないため、真実の婚姻関係なのかが重要な判断要素となり、慎重な判断がなされます。
(2) 日本人の特別養子
養子縁組には普通養子と特別養子があります。「特別養子」は6歳未満の子供を家庭裁判所の審判により産みの親との身分関係を完全に切り離し、養父母との間に実の子と同じような身分関係を成立させるものですので、このビザの対象となります。しかし、年齢制限のない普通養子については「定住者」ビザの対象になりますが、養子縁組により必ずしもビザ取得ができるとは限りません。
(3)日本人の子として出生した者
「子として出生した者」とは親が日本人である実子をいいます。嫡出子のほか、認知された嫡出でない子も含まれます。ただし、その子が出生したときに父または母のいずれか一方が日本国籍を有していたとき、または、本人の出生前に父が死亡し、かつ、その父の死亡のときに日本国籍を有していた場合でなければなりません。しかし、本人の出生後に父または母が日本の国籍を離脱した場合でも特に差し支えありません。
外国人が日本人と結婚して「日本人配偶者」の在留資格を取得するためには、①法律上の婚姻関係が成立しているだけでなく、②実質的に同居し協力し合いながら生活活動を共にする結婚生活の実態が認めなければなりません。また、③生活の安定性を担保するため扶養者の職業及び収入面も審査のポイントになります。
日本人配偶者のビザ(在留資格)を取得するには、いわゆる「事実婚」や「内縁関係」では足りず、法律上の婚姻が成立していることが必要です。
外国人の方の母国で先ずは法律上の婚姻手続をし、正式な「結婚証明書」を入手しておく必要があります。その上で、日本で市区町村役場に婚姻届を提出しておくことが、「日本人の配偶者等」のビザ(在留資格)申請の条件となります。
法律上の婚姻手続が完了していたとしても、夫婦としての実態が本当に伴っていなければ日本人配偶者のビザ(在留資格)を得ることは出来ません。
1.結婚に至った経緯 ①知り合った時期、場所 ②知り合ったいきさつ ③紹介者の有無、素性、関係性 2.夫婦間の会話で使われている言語 ①どの程度理解できるか ②どのようにして学んだか ③言葉が通じない場合の意思疎通の方法 3.結婚届出嗣の証人 4.結婚式の日時、場所、出席者 5.結婚歴 6.これまでの来日の回数と時期 7.配偶者の母国に行った回数と時期 8.結婚を知っている親族の有無 |
夫婦として共同生活を営む上で、収入・資産がなければ夫婦共同生活を継続できません。そのため、日本人の方の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書を提出して、二人が夫婦として暮らしていけるだけの収入や資産があることを証明する必要があります。
日本人,永住者又は特別永住者の配偶者として「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」の在留資格を有する外国人の方は「配偶者の身分を有する者としての活動を継続して6月以上行わないで在留している」場合,これについて「正当な理由」があるときを除き,在留資格取消 の対象となります。
「正当な理由」に該当する場合等在留資格の取消しを行わない主な事例として公表されているものは以下のとおりです。(在留資格を取り消すかどうかの判断は,個別・具体的状況に基づいて なされるものであり,必ずしも後記の具体例に限定されるものではありません 。)
1 配偶者からの暴力(いわゆるDV(ドメスティック・バイオレンス )を理由として一時的に避難又は保護を必要としている場合 2 子供の養育等やむを得ない事情のために配偶者と別居して生活しているが生計を一にしている場合 3 本国の親族の傷病等の理由により,再入国許可(みなし再入国許可を含む )による長期間の出国をしている場合 4 離婚調停又は離婚訴訟中の場合 |
入管は「配偶者の身分を有する者としての活動を継続して6月以上行わないで在留している」事実が判明したことにより在留資格の取消しをしようとする場合には,在留資格変更許可申請又は永住許可申請の機会を与えるよう配慮することとしています。配偶者の身分を有する者としての活動を継続して6月以上行わないで在留している場合であっても,日本国籍を有する実子を監護 ・養育しているなどの事情がある場合には,他の在留資格への変更が認められる場合があります。