入管法49条1項に基づく異議の申出について理由がない旨の法務大臣の裁決及び主任捜査官による退去強制令書発付処分がなされた場合に、在留特別許可の許否について争うには、当該裁決及び退去強制令書発付処分の取消訴訟を提起することになります。
障害持つ子どもに配慮、国外退去を取り消す判決 不法入国を理由に、東京入国管理局から国外退去を命じられたフィリピン国籍の男性(47)が国に命令の取り消しを求めた訴訟で、東京地裁は10日、男性の請求を認める判決を言い渡した。 永住資格を持つ同国籍の妻(44)との間にダウン症の幼児がおり、谷口豊裁判長は「原告が母国に送還されれば、残された家族の生活は極めて困難になる」と判断した。 判決によると、男性は1997年に入国。解体作業員などとして働き、日本で出会った妻との間に2人の子どもがおり、1人はダウン症で知的障害を抱えている。男性が送還された場合の影響について、国側は「妻が働き生計を立てることも可能で、特に支障はない」と主張。しかし、判決は、「入管の判断には、重要な事実について複数の誤りがあり、妥当性を欠くのは明らか」と指摘した。 (2014年1月11日 読売新聞) |
フィリピン人高1長女、1審取り消し滞在認める 不法滞在のフィリピン人家族3人が国外退去処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審で、東京高裁は19日、請求を棄却した1審・東京地裁判決の一部を取り消し、高校1年の長女(16)の国内滞在を認める判決を言い渡した。 山田俊雄裁判長は「長女は日本で生まれ育ち、フィリピンでは生活習慣への適応や言語の習得が困難だ」と指摘した。 判決によると、両親は1988年以降、不法滞在を繰り返し、2012年8月、長女とともに退去強制命令を受けた。1審判決は、長女について「母国での生活適応は不可能ではない」としたが、高裁は適応は困難と判断。長女が1人で国内に残ったとしても「福祉制度などを利用すれば生活は可能」と述べた。 2014年09月19日 21時24分 Copyright © The Yomiuri Shimbun |
「帰国すれば死刑」イラン人の母国送還取り消し 2015年11月28日 06時07分 Copyright © The Yomiuri Shimbun 日本で知人のイラン人を殺害して服役し、強制退去処分を受けたイラン国籍の男性(46)が「帰国すると死刑になる可能性が高い」として、国に処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が27日、大阪高裁であった。 石井寛明裁判長は「生命に差し迫った危険が発生することが予想される」と述べ、請求を棄却した1審・大阪地裁判決を変更し、送還先をイランと指定した部分を違法として取り消した。 控訴審判決によると、男性は2000年7月、偽造パスポートで不法入国し、名古屋市内でイスラム教徒のイラン人を刺殺したとして、01年に愛知県警に逮捕された。02年に殺人罪などで懲役10年の判決を受け、11年6月に大阪刑務所から仮釈放される際、大阪入国管理局からイランへの退去処分を受けた。 昨年5月の1審・大阪地裁判決は、処分を適法としたが、石井裁判長は、イスラム教徒を殺害した男性が送還された場合、イラン・イスラム刑法により、国内で報復の対象となるとし、「死刑に処される可能性は極めて高い」と述べた。 |
事 案 |
不法残留の状態で日本人と結婚した千葉県八街市のインドネシア国籍の女性(34)が国に強制退去処分の取り消しを求めた訴訟。女性は2003年に入国し、在留期限を過ぎた14年10月、交際していた男性(45)と結婚。婚姻を理由に法務省入国管理局に在留特別許可を求めたが認められず、昨年2月に退去を通知された。在留期間経過後,一部違憲であった本件待婚規定に基づく6か月の待婚期間の経過を待って速やかに婚姻を届け出たという経緯があるが、国は違法状態での婚姻で、在留する権利を保護する必要性は低いと主張した。 |
結 果(東京地裁平成28年行ウ第354号) |
東京地裁は26日までに、処分を取り消した。谷口豊裁判長は「強制退去は安定した家族関係を分断し、著しく妥当性を欠く」と指摘した。 |
出典 |
女性の強制退去取り消し 不法残留で結婚、千葉 2017/8/26 13:23(共同) 筆者一部加筆 参考判例 最高裁平成27年12月16日 |
取消訴訟は出訴期間は処分又は裁決があったことを知った日から6 か月以内に起こさなければなりません。出訴期間経過後にも,処分の無効確認訴訟を起こすことはできますが,取消訴訟では処分が違法であれば取り消されるのに対し、無効確認訴訟では違法性が明白かつ重大ではないと処分の効力は否定されません。