事 案 |
不法滞在で強制退去処分を受けた胸腺がん患者の韓国人Kさん(52)=名古屋市=が、日本で治療を続けるため、国を相手に処分取り消しを求めた行政訴訟の控訴審判決。1999年に生け花を学ぶために来日したKさんは、2004年の在留期限後も滞在。09年に胸腺がんの手術を受け、美容院で働いていた10年に摘発された。今年1月の一審判決前にがんが再発し、治療を続けている。 |
結 果 |
「文明国として当然、生命に関わる病気の患者には配慮を尽くすべきだ」と述べ、原告敗訴の一審名古屋地裁判決を取り消し、請求を認めた。「新たに韓国で受診すれば、記録の翻訳や再度の検査など負担が大きい」と指摘。「出身地でも治療が受けられる」とする国側の主張を退け、「病院を替わる重い負担を、不法滞在を選んだ自己責任だと判断するのは到底相当ではない」と批判した。 |
備 考 |
Kさんは、判決後に「韓国にもカルテを送ったが治療は難しいと言われていた。心から感謝しています」と語った。代理人のM弁護士は「難病の患者に配慮した判決だ」と評価した。名古屋入国管理局は「今後の対応は上級庁と協議して考える」としている。 |
出 典 |
時事通信社 2013年06月27日22時01分 |