不法滞在者収容の入国管理センター、常勤医師「ゼロ」に 救急不安…医療費も高額化 産経新聞 2月26日(木)7時55分配信 不法滞在の外国人を収容する全国3カ所の入国管理センターで、常勤医師が一人もいない事態になっていることが25日、入管当局への取材で分かった。いずれも非常勤医師が輪番で対応しているが、夜間帯の緊急対応の不備や外部医療機関の利用に伴う診療費の増加などが問題となっている。昨年3月には収容中の外国人2人が相次いで死亡しており、関係者から「医療態勢を充実すべきだ」という声があがっている。 入国管理センターは現在、東日本(茨城県牛久市)▽西日本(大阪府茨木市)▽大村(長崎県大村市)-の3カ所で、常勤医師の定数は各1人。不法滞在の外国人が帰国するまでの間、施設内で健康管理や病気、けがの診療を行う。 入管当局によると、東日本では平成24年3月、常勤医師が退職した後、後任が見つかっていない。大村でも25年4月から不在。唯一残っていた西日本でも昨年末に常勤医師が辞めたため、年明けから全国で「ゼロ」となった。 いずれも、近隣の民間医療機関などの医師が輪番で勤務しているが、入管当局の幹部は「土日や夜間でも相談できる常勤医師がいないと困る。救急の場合など、外部医療機関への搬送が増える」とこぼす。外部へ搬送するには、逃走防止のため職員数人が交代制で付き添わなければならない上、健康保険が適用されず高額の医療費がかかってしまう。 各センターでは、隣接の医師会へ呼びかけるなどして募集しているが、一向に集まらない。背景には、民間医療機関の医師と比較した給料の低さや最先端の医療から取り残される不安があるという。 一方、昨年3月には東日本でイラン人男性が食べ物を詰まらせて死亡したほか、カメルーン人男性も病死。そのため、有識者の第三者機関「入国者収容所等視察委員会」は11月、「医療体制の見直し」を求めた。法務省入国管理局も同月、ハローワークへの求人登録などを行うとともに、週末や夜間でも非常勤医師に相談できる態勢の構築を目指す方針を示した。 全国の刑事施設では昨年、常勤医師数が過去最低を更新。同省ではフレックス制の導入や兼業許可手続きの簡略化などを盛り込んだ新法案を準備中だ。入管幹部は「新法が管理センターにも準用されるのでは」と期待を寄せている。 |
被収容者に治療を受けさせたいという理由で仮放免や収容の執行停止を求めても、なかなか認められないのが現状です(特に収容の執行停止は非常に厳しいものがあります)。その理由として、被収容者は適切な処遇を受けているという建前があります。しかし、その実態はニュースの通り。入管実務にも裁判実務にも改善を期待します。
大阪地方裁判所平成19年(行ク)第1号 平成19年3月30日第2民事部決定 入管法61条の7及び被収容者処遇規則には,寝具の貸与,糧食の給与,衣類及び日用品の給与,物品の購入の許可,衛生,健康の保持,傷病者に対する措置,面会の許可等,被収容者の人権に配慮した種々の規定が置かれており,これらの規定は,収容令書又は退去強制令書に基づく収容が,外国人の退去強制という行政目的を達成するために設けられた行政手続であることにかんがみ,被収容者に対する自由の制限は,収容所等の保安上必要最小限の範囲にとどめようという趣旨によるものと解される。このような被収容者の処遇に関する入管法の規定の趣旨,入管法及び被収容者処遇規則が予定する被収容者の自由に対する制限の内容,態様,程度にかんがみると,収容令書又は退去強制令書発付処分のうちの収容部分の執行により被収容者が受ける損害は,その内容,性質,程度に照らして,特段の事情がない限り,行訴法25条2項にいう「重大な損害」には当たらないものというべきである。
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