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代表弁護士 小川敦也

2015年

3月

01日

不法滞在者収容の入国管理センター、常勤医師「ゼロ」に 

不法滞在者収容の入国管理センター、常勤医師「ゼロ」に 救急不安…医療費も高額化

産経新聞 226()755分配信  

 不法滞在の外国人を収容する全国3カ所の入国管理センターで、常勤医師が一人もいない事態になっていることが25日、入管当局への取材で分かった。いずれも非常勤医師が輪番で対応しているが、夜間帯の緊急対応の不備や外部医療機関の利用に伴う診療費の増加などが問題となっている。昨年3月には収容中の外国人2人が相次いで死亡しており、関係者から「医療態勢を充実すべきだ」という声があがっている。

  入国管理センターは現在、東日本(茨城県牛久市)▽西日本(大阪府茨木市)▽大村(長崎県大村市)-の3カ所で、常勤医師の定数は各1人。不法滞在の外国人が帰国するまでの間、施設内で健康管理や病気、けがの診療を行う。

  入管当局によると、東日本では平成24年3月、常勤医師が退職した後、後任が見つかっていない。大村でも25年4月から不在。唯一残っていた西日本でも昨年末に常勤医師が辞めたため、年明けから全国で「ゼロ」となった。

  いずれも、近隣の民間医療機関などの医師が輪番で勤務しているが、入管当局の幹部は「土日や夜間でも相談できる常勤医師がいないと困る。救急の場合など、外部医療機関への搬送が増える」とこぼす。外部へ搬送するには、逃走防止のため職員数人が交代制で付き添わなければならない上、健康保険が適用されず高額の医療費がかかってしまう。

  各センターでは、隣接の医師会へ呼びかけるなどして募集しているが、一向に集まらない。背景には、民間医療機関の医師と比較した給料の低さや最先端の医療から取り残される不安があるという。

  一方、昨年3月には東日本でイラン人男性が食べ物を詰まらせて死亡したほか、カメルーン人男性も病死。そのため、有識者の第三者機関「入国者収容所等視察委員会」は11月、「医療体制の見直し」を求めた。法務省入国管理局も同月、ハローワークへの求人登録などを行うとともに、週末や夜間でも非常勤医師に相談できる態勢の構築を目指す方針を示した。

  全国の刑事施設では昨年、常勤医師数が過去最低を更新。同省ではフレックス制の導入や兼業許可手続きの簡略化などを盛り込んだ新法案を準備中だ。入管幹部は「新法が管理センターにも準用されるのでは」と期待を寄せている。


被収容者に治療を受けさせたいという理由で仮放免や収容の執行停止を求めても、なかなか認められないのが現状です(特に収容の執行停止は非常に厳しいものがあります)。その理由として、被収容者は適切な処遇を受けているという建前があります。しかし、その実態はニュースの通り。入管実務にも裁判実務にも改善を期待します。

大阪地方裁判所平成19年(行ク)第1号

平成19年3月30日第2民事部決定

入管法61条の7及び被収容者処遇規則には,寝具の貸与,糧食の給与,衣類及び日用品の給与,物品の購入の許可,衛生,健康の保持,傷病者に対する措置,面会の許可等,被収容者の人権に配慮した種々の規定が置かれており,これらの規定は,収容令書又は退去強制令書に基づく収容が,外国人の退去強制という行政目的を達成するために設けられた行政手続であることにかんがみ,被収容者に対する自由の制限は,収容所等の保安上必要最小限の範囲にとどめようという趣旨によるものと解される。このような被収容者の処遇に関する入管法の規定の趣旨,入管法及び被収容者処遇規則が予定する被収容者の自由に対する制限の内容,態様,程度にかんがみると,収容令書又は退去強制令書発付処分のうちの収容部分の執行により被収容者が受ける損害は,その内容,性質,程度に照らして,特段の事情がない限り,行訴法25条2項にいう「重大な損害」には当たらないものというべきである。

 


2014年

11月

22日

入管で外国人男性死亡 法務省「常勤医の不在が問題」

入管に収容された人物が仮放免を求めるケースとして、適切な治療を受けたいという理由から仮放免を求める場合は少なくありません。ただ収容所でも治療を受けられるという建前から、容易に仮放免は認められないのが実態です。もちろん、適切な治療を収容所で実際に受けられるのであればよいのですが、現実は必ずしも建前通りには行かないこともあるようです。早急に改善して頂きたいところです。



入管で外国人男性死亡 法務省「常勤医の不在が問題」

201411210351分 朝日新聞デジタル

 不法滞在の外国人などを収容する東日本入国管理センター(茨城県牛久市)で3月、外国人男性2人が相次いで死亡する事案があり、法務省は20日、1人が体調の異変を訴えたにもかかわらず医師に受診をさせないなど、医療態勢に問題があったと発表した。常勤の医師がいないため、今後、常勤医を確保するなどの改善を図るという。

 問題があったのは、国外退去を命じられて収容されたカメルーン人男性(43)への対応。男性は3月30日朝、意識がない状態で見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。

 同省の調査によると、男性は16日に脚の痛みを訴えたが、医師の診察は27日だった。その後も胸の痛みなどがあったが、土日で非常勤の医師もおらず、外部の医師にも相談しなかった。

 同省入国管理局は「診療を受けていたら助かった可能性は否定できない」と説明。センターは2012年度から常勤医が不在だといい、今後は、非常勤や民間の医師に速やかに判断を仰ぐよう改善するという。

 一方、食事中にのどを詰まらせて死亡したイラン人男性(33)の対応について、同局は「適切だった」と説明した。

2014年

3月

23日

入管法違反で国外退去の外国人、8年連続で減少

 

入管法違反で国外退去の外国人、8年連続で減少

 

 昨年1年間に不法残留や不法入国など入管難民法違反で国外退去の強制手続きがとられた外国人は1万1428人で、前年に比べて3750人減と8年連続で減少した。法務省が発表した。

 

 国外退去の理由については、不法残留が前年比2726人減の8713人で、全体の76%を占めた。不法入国も前年比747人減の1128人だった。国籍・地域別でみると、11年連続で中国が最も多く4044人。フィリピン(1778人)、韓国(1336人)が続いた。全体の61%にあたる7038人が不法就労をしていた。

 

 国外退去が減少している背景には、在留期限を過ぎても日本から出国しない不法残留の外国人が、今年1月1日現在で5万9061人と、ピーク時の1993年(29万8646人)から大幅に減ったことがある。2007年に導入した指紋などの生体認証による入国審査の厳格化も、不法残留の抑止効果につながっているとみられる。YOMIURI ONLINE

 

2014年

3月

19日

ガーナ人死亡で国に賠償命令=「入管の制圧行為は違法」―東京地裁

 

ガーナ人死亡で国に賠償命令=「入管の制圧行為は違法」―東京地裁

 

時事通信 319()1058分配信

 

 強制送還手続き中にガーナ人男性=当時(45)=が死亡したのは、東京入国管理局の職員が体を押さえ付けるなどの暴行を加えたためだとして、遺族が国に計約13600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が19日、東京地裁であり、小林久起裁判長は約500万円の賠償を命じた。

 

  小林裁判長は「男性はタオルで猿ぐつわをされ、座った状態で膝に顔が近づくほど深く前かがみにされたため窒息死した」と認定。「入管職員の制圧行為は必要性、相当性を超えた違法なものだった」と判断した。

 

  一方、強制送還手続き中に男性が暴れたなどと指摘し、「男性が過剰で違法な制圧行為を誘発した側面は否定できない」と述べ、5割を過失相殺するなどして賠償額を算定した。

 

  男性の妻(52)は判決後に記者会見し、「入管職員の違法性が認められ、心から感謝している」と話した。

 

2013年

12月

25日

不法滞在者の雇用リスク

元大関Kに罰金50万 不法滞在者雇用で名古屋簡裁命令

2013.12.25 18:06

 名古屋区検は25日、経営する焼き肉店で不法滞在の外国人2人を働かせたとして、入管難民法違反(不法就労助長)の罪で、元大関KことT氏(37)を略式起訴した。名古屋簡裁は同日、罰金50万円の略式命令を出した。

 捜査関係者によると、愛知県警は外国人の不法就労を認識していたとして逮捕したが、T氏は「不法滞在とは知らなかった」と容疑を否認。名古屋区検は県警が逮捕時に適用した同法の規定を変更し、違法性を知らなくても過失責任を問い処罰できる規定を適用した。

 T氏は今月4日、名古屋市西区で経営する焼き肉店で、在留資格がない中国人とタイ人を働かせ、不法就労を助長したとして愛知県警に逮捕された。

 

>2012年7月に導入された新しい在留管理制度が導入されました。この在留管理制度は、外国人の適正な在留の確保に資するため,法務大臣が,我が国に在留資格をもって中長期間在留する外国人を対象として,その在留状況を継続的に把握する制度です。この制度の対象者には,氏名等の基本的身分事項や在留資格,在留期間が記載され,顔写真が貼付された在留カードが交付されます。

在留カードの導入により在留資格・資格外活動許可の有無等の判別が極めて容易になることに伴い,雇用主が,雇用する外国人が不法就労者であることを知らなかったとしても,そのことについて,在留資格の有無を確認していない等の過失がある場合には処罰を免れません。

 このため、「不法滞在とは知らなかった」と容疑を否認しても、それはなかなか通用しない、ということになります。

2013年

12月

10日

タイ人約50人チャーター機で強制送還 中国へは外交配慮

中国への一斉送還中止 不法滞在者 外交情勢に配慮

 法務省が今年度から実施している、チャーター機を使った不法滞在外国人の一斉強制送還で、予定されていた中国国籍の不法滞在者の中国への送還を取りやめ、別の国の不法滞在者に変更したことが7日、関係者への取材で分かった。中国の一方的な防空識別圏の設定などによる日中関係の悪化が影響したとみられる。法務省は8日、7月にフィリピン国籍の75人に行われて以来2度目となる一斉強制送還を実施する。

 法務省は今年度、外国人不法滞在問題への対処で、チャーター機での強制送還効率化方針を策定。退去強制令書が出された人数が多い中国とフィリピンへの一斉送還を計画し、まずフィリピンへの送還を行った。

 だが関係者によると、尖閣諸島問題などに加え、中国が東シナ海上空に防空識別圏を設けたことなどで日中関係が険悪化し、別の国籍者の一斉強制送還に変更されたという。国籍は明らかにしていない。

 今の状態で強制送還を行えば、両国間に新たな悪感情が芽生えかねず、見送って両国間で協議を続ける方が現実的との政治的判断が働いたとみられる。

 法務省入国管理局によると、今年1月1日現在で不法滞在者は約6万2千人。うち退去を命じられた不法残留者は計3030人で、フィリピン375人、中国331人、スリランカ245人の順に多い。法務省は来年度も一斉強制送還を計画しているが、今回の送還先変更により、違法状態の早期解消という目標に影響が出ないかが懸念される。

2013.12.8 10:56 [日中関係] 産経ニュース

タイ人約50人チャーター機で強制送還 

  法務省は不法滞在などで強制退去が決まっていたタイ人およそ50人をチャーター機で一斉に強制送還しました。関係者によりますと、法務省は8日、不法滞在などで強制退去が決まっていたタイ人およそ50人をチャーター機に乗せ、成田空港から一斉に強制送還しました。チャーター機による一斉送還は、ことし7月に不法滞在などのフィリピン人75人を送還して以来、2回目です。法務省によりますと、強制退去が決まった外国人が帰国を拒んだ場合、通常は民間の定期便で1人につき数人の警備官をつけて送り返していますが、チャーター機のほうが警備を効率化でき、1人当たりのコストを抑えられるということです。
また、定期便では外国人が出発前の機内で騒ぐなどして、航空会社から搭乗を拒否されるケースもありましたが、チャーター機なら安全性を確保しながら確実に送還できるということです。
法務省によりますと、ことし1月現在、国内の不法残留外国人はおよそ6万2000人で、このうちタイ人は5番目に多いおよそ3500人となっています。(NHK NEWSWEB12月8日
)

2013年

11月

12日

入管への情報提供

情報受付とは

オーバーステイ等の不法滞在が入管に発覚する端緒には、①自ら出頭し、オーバーステイ等の不法滞在である旨を認めた場合、②職務質問を受け、オーバーステイ等の不法滞在であることが発覚した場合等があります。これとは別に法的な制度として、第三者から不法滞在者の情報提供を受けるという「情報受付」という制度があります。

出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」と略します。)第62条第1項には「何人も,第24条各号の一に該当すると思料する外国人を知ったときは,その旨を通報することができる。」と規定されています。入管法第24条とは,退去強制(いわゆる強制送還)についての規定であり,つまり第62条は「我が国にいる不法入国者や不法残留者などを知っていたら,入国管理局などに教えていただいて結構です。」という趣旨の規定となっています。

 情報受付は、電話や手紙だけでなく、最近では電子メールでも行われております。日本では不法滞在者が1993年の約30万人をピークに年々減少し、2011年年初には78,488人に激減しました。この背景には、新しい入国審査制度やオンライン情報受付などによる出入国管理及び難民認定法第62条や第66条に規定される報償金に対する認知向上などが効果を上げたと見られております。

 在留特別許可を望むのであれば、事前の準備が肝要です。しかし、何かあってからでは準備は間に合いません。お早目に弁護士等の専門家にご相談下さい。

2013年

10月

17日

女子留学生にホステスのアルバイト紹介、岩手大教授に罰金40万 盛岡簡裁平成25年9月18日

事 案

岩手大国際交流センターの男性教授(59)は2012年10月ごろ、盛岡市で、「留学」の資格で滞在する女子留学生3人に、ホステスとして働くことを知りながらスナックを紹介、不法就労をあっせんした。盛岡区検は3日までに、女子留学生にホステスのアルバイトを紹介したとして入管難民法違反(不法就労あっせん)の罪で、略式起訴した。

結 果

盛岡簡裁は同18日に罰金40万円の略式命令を出し、教授はすでに納付した。

出 典

2013.10.3 19:20産経ニュース

2013年

7月

09日

フィリピン国籍75人送還=チャーター機で一斉に

 法務省は8日、不法残留などで強制退去が決まったフィリピン国籍の75人を6日にチャーター機で一斉送還したと発表した。集団で不法入国した外国人を一緒に送り返すケースはあったが、事情が異なる外国人をこれだけの規模で一度に送還した例はないという。
  法務省入国管理局によると、強制退去が決まった外国人が送還を拒み続けた場合、民間の定期便を使い、入国警備官を付けて1人から数人の単位で帰国させる。この場合、交通費は日本政府の負担となる。
   ただ、機内で大声を上げたり暴れたりして送還できないこともある。チャーター機を使って一斉送還することで安全性が高まり、費用も抑えられるとしている。 
時事通信 78()1950分配信
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130708-00000117-jij-pol 

2013年

6月

28日

フィリピンから「夢の日本」へ離婚できない“ジャパユキさん”の「偽装結婚」

弁護士として入管業務に関わっていると、不法滞在(オーバーステイ)中のフィリピン人女性からの相談は少なくありません。

以下は、ダイヤモンド・オンラインの記事ですが、弁護士らが入管業務に係るにあたり、知っておかなければならない、重要な知識であると思いますので、ほぼそのまま引用させてもらっております。

フィリピンから「夢の日本」へ離婚できない“ジャパユキさん”の「偽装結婚」

ダイヤモンド・オンライン 2013/6/3 17:05

志賀和民

 

● フィリピンパブで働くための偽装結婚

 日本行きの興行ビザ(タレントビザ)の発給がストップして以来、若いフィリピーナにとって「夢の日本行き」は、日本人との結婚によってのみ実現されるといっても過言ではない。とはいいつつも、フィリピンにいて日本人の配偶者を見つけるのは至難の技だ。

 

 そのため、プロモーターの斡旋で見ず知らずの日本人とかたちだけの結婚をして、日本行きを目指す。これがイミテーション(偽装)結婚だ。日本の入管もこの偽装結婚を厳しく監視していて、本当に結婚生活をしているか確認するために、自宅訪問をしたりするそうだ。

 

 偽装結婚の謝礼に、日本人男性には月々数万円を払うそうで、プロモーターへの支払いを合わせるとほとんど収入が見込めないこともある。そうなると、もっと稼ぐために体を売るなど、かわいそうなことになっているジャパユキさんも多いようだ。

 

 彼女たちは、日本のフィリピンパブなどで働き、それなりの収入を得て、貯金ができてから、フィリピンに帰って元の生活に戻る。もちろん故郷で「結婚」という話も出てくるだろう。しかし日本で離婚手続きをしてきたとしても、フィリピンでも手続きをしないと、結婚の経歴はそのまま残ってしまう。

 

 プロモーターに「在日フィリピン大使館に届けたから大丈夫だ」と言われて安心していたら、いざ結婚しようとすると、そのまま婚姻の記録が残っていて、婚姻の資格証明書が出ないという事態が多発している。

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● 離婚制度がない国での離婚手続き

 

 従来は、離婚の事実が記載されている戸籍謄本を在比日本大使館に提出して離婚証明をもらい、それをCity Civil Registry(登記所)に提出し、その証明書を最寄りの市役所に持っていけばよかった。これで市役所からNSO(National Statistic Office、国家統計局)に書類が送られ、婚姻の資格証明書が発行されるまでさほどの手間ではなかった。

 

 しかしこれすらジャパユキさんにとっては簡単とはいえない手続きで、これを怠って結婚できないはめになっているフィリピーナも多かった。それがさらに、2009年あたりに法律が改正されたようで、安易に離婚することができなくなってしまった。

 

 ご承知のとおり、カソリックの国フィリピンには離婚という制度がない。いったん結婚したら、それは生涯有効なのだ。しかし裁判に訴えて「この婚姻は無効である」という判決を裁判官が出したら、その婚姻ははじめからなかったことになり、晴れて独身に戻れる(この手続きを「アナルメントAnnulment」という)

 

 このようなお国柄だから、日本に行くために結婚して、フィリピンに戻ったら離婚、などという神を冒涜するような行為が許されるはずがない。そのためか、日本で行なった離婚をフィリピンにおいても有効にするために、裁判所に届けて離婚が正当であるという判決をもらわなければならなくなったのだ。そのためには10万ペソ(25万円)程度の弁護士費用と、半年から1年半の月日がかかるそうだ。

 

 ジャパユキさんにとっては気の遠くなるような話だ。念願の日本行きを果たしたとしても、本命の彼との結婚も当分お預けとなってしまう。日本人との結婚・離婚を繰り返し、日本行きの手段にしてきたベテランのジャパユキさんにとっても頭の痛い話だ。

 

● ジャパユキさんに規制をかける政府の目論見

 

 次に結婚だが、かつては出生証明を持っていけば、市役所が比較的簡単に婚姻許可を出してくれたものが、現在はNSOから「シノマCENOMA(Certificate of No Marriage)」という婚姻資格証明をもらわなければならなくなった。

 

 戸籍制度がないから、出生証明と婚姻証明がすべてだったフィリピーノにとっては、これも頭の痛い問題だ。同姓同名の人間が結婚しているとすると、その人とは他人であることを証明しないとシノマが出ない。もちろん過去に婚姻歴があると、それを正式に抹消していない限りシノマは出ない。

 

 これらの措置は、偽装結婚や重婚による日本行きのビザ取得が日常化ないし商業化しているという状況に、政治家が業を煮やしたものと思われる。たしかに神聖な結婚をビザ取得の手段にするなどということは許されるべきものではない。しかも、それをエサにジャパユキ志望の若いフィリピーナの体をもてあそんだり、月々の謝礼を当てにしたり、日本男児の名折れともいえる輩もいるのも腹が立つ。

 

 しかし、かわいそうなのは当のジャパユキさんだ。必死の思いで念願の日本行きを果たし、故郷に錦を飾ったまではいいが、その偽装結婚に生涯縛られる羽目になってしまうかもしれないのだ。これで政府の狙いどおり、偽装結婚による日本行きも下火になることは間違いないだろう。

 

(文・撮影/志賀和民)

 

著者紹介:志賀和民(シガカズタミ)

東京出身。東北大学大学院修了後、日揮()入社。シンガポールにをかわきりに海外勤務を歴任。1989年日揮関連会社社長に就任しフィリピンに移住。20074PASCO(サロン・デ・パスコ)取締役。

2013年

6月

28日

<ハンスト>仮放免求め 西日本入管センター収容の27人

 西日本入国管理センター(大阪府茨木市)に収容中のスリランカ人27人が14日から食事を取らない「ハンガーストライキ」を続けていると、労働組合「名古屋管理職ユニオン」(名古屋市中区)が発表した。同センターに長期収容されているイラン人ら複数の収容者の仮放免を求めているという。

 同組合によると、組合員で同センターに収容されているスリランカ人男性から17日午後、連絡があった。最も長い人で1年2カ月間収容されていて、今後、収容者の支援者と入管当局との間で話し合いが持たれる予定という。

【小林慎】毎日新聞 617()2120分配信

2013年

6月

28日

難病配慮「文明国として当然」=韓国女性の強制退去取り消し―名古屋高裁平成25年6月27日

事 案

不法滞在で強制退去処分を受けた胸腺がん患者の韓国人Kさん(52)=名古屋市=が、日本で治療を続けるため、国を相手に処分取り消しを求めた行政訴訟の控訴審判決。1999年に生け花を学ぶために来日したKさんは、2004年の在留期限後も滞在。09年に胸腺がんの手術を受け、美容院で働いていた10年に摘発された。今年1月の一審判決前にがんが再発し、治療を続けている。

結 果

「文明国として当然、生命に関わる病気の患者には配慮を尽くすべきだ」と述べ、原告敗訴の一審名古屋地裁判決を取り消し、請求を認めた。「新たに韓国で受診すれば、記録の翻訳や再度の検査など負担が大きい」と指摘。「出身地でも治療が受けられる」とする国側の主張を退け、「病院を替わる重い負担を、不法滞在を選んだ自己責任だと判断するのは到底相当ではない」と批判した。

備 考

Kさんは、判決後に「韓国にもカルテを送ったが治療は難しいと言われていた。心から感謝しています」と語った。代理人のM弁護士は「難病の患者に配慮した判決だ」と評価した。名古屋入国管理局は「今後の対応は上級庁と協議して考える」としている。

出 典

時事通信社

201306272201

http://news.livedoor.com/article/detail/7806952/ 

2013年

6月

27日

不法滞在でフィリピン人の男女6人逮捕(愛知県)

パスポートを持たずに入国したり、在留期間を過ぎたにもかかわらず日本国内にとどまったとして25日、フィリピン人の男女6人が逮捕された。入管法違反の疑いで逮捕されたのは、A容疑者(24)やB容疑者(25)らいずれも愛知県岡崎市のフィリピン国籍の男女6人。警察の調べによると、A容疑者ら女2人はパスポートを持たずに不正に入国した疑いがもたれ、B容疑者ら男女4人は在留期限を過ぎたにもかかわらず、日本にとどまっていた疑いがもたれている。警察の調べに対し、6人は「間違いありません」と容疑を認め、「金が欲しかった」などと話しているという。女5人は岡崎市内の同じフィリピンパブで働き、今年3月、「オーバーステイして働いているフィリピン人がいる」などと匿名の通報があり、警察が捜査していた。警察は、入国の方法など詳しく調べを進める方針。

[ 25/6/25 22:02 中京テレビ]

 

不法滞在事案では、多くの場合、執行猶予が付いています。しかし、中には執行猶予が付かないケースもあります。その線引きは難しいのですが、同種前科があるか、特に、同種前科と今回の犯罪との期間がポイントになります。


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