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代表弁護士 小川敦也

出入国管理及び難民認定法

(退去強制令書の執行)第五十二条
 6  入国者収容所長又は主任審査官は、前項の場合において、退去強制を受ける者を送還することができないことが明らかになつたときは、住居及び行動範囲の制限、呼出に対する出頭の義務その他必要と認める条件を附して、その者を放免することができる。

裁判例1:仮放免の許否の判断は自由裁量行為か(積極)

昭和46年1月11日

長崎地裁

昭和45年(行ウ)第4号 ×

 原告は、金安猛の本国北朝鮮と日本とは未だ国交がなく、且北朝鮮は此種強制送還を拒否していてその国交樹立の見通しもなく、又金安猛は北朝鮮へ自費出国の申請もしないので、かような事情のもとでは金安猛をその希望する北朝鮮に強制送還することはできないのであるから、被告は出入国管理令第五二条第六項の「退去強制を受ける者を送還することができないことが明らかになつたとき」に当るとして、このことも本件仮放免するに際し考慮すべきだと主張するので、この点について考えると、原告が主張する如く日本と北朝鮮との間には未だ国交が開かれておらず、従つて退去強制令書の執行として金安猛を直接同人の希望する北朝鮮へ強制送還することはできないけれども主任審査官の許可を受けて退去強制を受ける者の自らの費用負担により日本を退去するいわゆる自費出国の方法も退去強制令書の執行の一つとして存することは出入国管理令第五二条第四項の規定によつて明らかである。(証拠省略)を合せ考えれば、現在まで自費出国の方法によつて北朝鮮に出国した例が相当数あること北朝鮮への自費出国者が最も多く利用している貨客船松濤丸の費用は約金二万円であることを認めることができる。右認定に反する(証拠省略)は前掲証拠に比照し措信し得ない。他に前記認定を左右するに足る証拠はない。また金安猛の自費出国の費用負担能力の有無については、(証拠省略)を合せ考えれば、金安猛を養育して来ている義父姜水岩は預金一六五万余円の外に不動産を有して土木業に従事し、朝鮮総連山口県字部支部副委員長の役にあつて信用も人望もあること、金安猛が出国の費用を負担できないとしてもその程度の費用は義父姜水岩において容易に援助できる情況にあることを認めることができる。右認定に反する証拠はない。そうだとすると金安猛に自費出国の費用負担能力もあるというべきである。そのように考えると、いわゆる自費出国によつて金安猛の希望する北朝鮮に送還される方法もあるというべきである。さて、出入国管理令第五二条第六項に規定する「退去強制を受ける者を送還することができないことが明らかになつたとき」とは、その送還が客観的事情により送還不可能になつた場合をいうと解釈すべきところ、金安猛が自費出国の申請をせず、そのために同人が北朝鮮に送還できないことになるとすればこれは全く金安猛のいわゆる主観的事情によるものであつて右条項には当らないというべきである。従つて原告のこの点の主張は採用し得ない。


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