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代表弁護士 小川敦也

再審情願

再審情願とは

 再審情願とは,既に退去強制令書が発付されてしまっている場合に,その処分の撤回を求めて行なう申立です。再審が認められた場合には,退去強制令書発付処分が撤回され,在留特別許可がなされることになります。

 もっとも、入管法上、再審情願に関する規定があるわけではなく,あくまで処分庁の職権発動を促すための事実上の制度にすぎません。したがって、処分庁にはそもそも申立を受理する義務はなく,また,職権が発動されない場合にそれ自体を行政訴訟において争う手段はないとされています。

再審情願の理由

再審情願の理由

実務においては,特に退去強制令書発付後に事情の変更があった場合などによく使われる制度です。

典型例

①日本人と内縁関係にあった外国人について,裁決までに法律上の婚姻を成立させることができず退去強制令書が発付されてしまったが,その後法律上の婚姻が成立した場合

②日本人との婚姻関係にもかかわらず在留特別許可が認められなかった事例で,その後夫婦間に子どもが出生した場合

③以前に入管に自主的に出頭して退去強制令書の発付を受け自費出国を許可されていたが実際には出国せず,その後日本人と結婚をした場合

その他

①退去強制令書の発付につき実体上及び手続上の瑕疵がある場合

②在留特別許可を出さないことについて法律上ないしは人道上看過できない事情がある場合

再審情願と退去強制令書発付処分取消請求訴訟

再審情願と退去強制令書発付処分取消請求訴訟

再審情願の審査期間は一概には言えず,相当長期を要することもあります。しかしながら,審査中であっても法律上退去強制令書を執行して当該外国人を送還してしまうことは可能です。実際に,再審不開始を告知し直ちに送還ということもあります。事案によっては,退去強制令書発付処分取消請求訴訟提起及び執行停止申立を行ない,送還の執行停止決定を受けておく必要があります。

 平成25年7月6日、送還を忌避していたフィリピン人75名を成田空港から民間のチャーター機で本国に送還してたことは広くニュースで報じられました。

  法務省のHPに掲載されている「平成25年7月9日 法務大臣閣議後記者会見 チャーター機による送還忌避者の送還等に関する質疑について」には以下のような記者とのやり取りがあります。

【記者】

  今回送還された方の中には,在日歴が30年に近い方ですとか,子供も8人くらい含まれていると聞いています。この中には仮放免を申請したり,再審情願をしたりといったような手続中の方はいらっしゃったのでしょうか。それから,送還するに当たって,どういう人を送還するといったような検討をどのようにされたのか,大臣が御存知の範囲でお教えください。
【大臣】
  手続上,きちんと退去強制が決定された方を送還の対象にしているということです。

  ここに退去強制が決定されれば「仮放免申請中でも、再審情願をしていても」送還の対象にするという意図が窺われます。今後は、行政裁判という選択を余儀なくされるケースは増えるのではないでしょうか。非常に難しい判断ですので、弁護士等の専門家に相談されることをお勧め致します。

再審情願のことは弁護士にご相談ください

 

  不法滞在(オーバーステイ)

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