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アライアンス法律事務所

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代表弁護士 小川敦也

裁判例1:

平成19年 3月 30日

大阪地裁

平成19年(行ク)第1号 

「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれ」(行訴法25条4項)があるか否かについて

 相手方は,本件令書の送還部分の執行を停止することになれば,出入国管理行政の迅速かつ円滑な執行を長期間にわたり停滞させることになるなどと主張するが,これらの主張は一般的,抽象的で,具体性を欠いているといわざるを得ず,このことのみをもって公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるということはできない。

 また,相手方は,入管法が在留資格の制度を設け,また収容された外国人につき仮放免の制度を設けているにもかかわらず,裁判所において退去強制令書の収容部分までその執行を停止することは,裁判所の関与によって同法が予定しない新たな在留の形態(何らの制約も受けない全くの放任状態での在留)を作出することとなり,公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるなどと主張する。

 しかしながら,入管法の定める仮放免の制度は,収容令書等の発付を受けて収容されている外国人について特別な事情が生じた場合に当該外国人本人若しくは一定範囲の関係人の請求により又は入国者収容所長等の職権により一時的に収容を停止し身体の拘束を解く制度であるのに対し、行訴法の定める執行停止の制度は,取消訴訟の提起があった場合における執行不停止原則の下での仮の救済制度であって,仮放免においては収容されている者の情状及び仮放免の請求の理由となる証拠並びにその者の性格,資産等を考慮して保証金を納付させ,かつ,住居及び行動範囲の制限等その他必要と認める条件を付すものとされており,執行停止においては本案について理由がないとみえるときに当たらないことが要件とされているなど,両制度は,その趣旨,目的及び要件,効果を異にするものであるから,仮放免に関する規定を根拠に退去強制令書の収容部分について行訴法の執行停止に関する規定の適用が除外ないし制限されると解することができないことはもとより,収容令書等に対する執行停止について類型的に行訴法25条4項にいう公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあると解することもできない。また,記録に照らしても,公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあることについての個別具体的な事情を認めるに足りる疎明資料もない。


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