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代表弁護士 小川敦也

裁判例1:申立の利益

平成24年 4月 2日

大阪地裁

平成23年(行ク)第138号 

争点(1)(本件各不許可処分の効力停止に関する申立ての利益があるか。)について

 在留外国人により在留期間更新許可申請がされた場合において,在留期間の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは,当該外国人は,その在留期間の満了後も,当該処分がされる日又は従前の在留期間の満了の日から2か月を経過する日のいずれか早い日までの間は,引き続き当該在留資格をもって本邦に在留することができる旨規定されている(平成21年改正後の法21条4項,20条5項)。これは,同改正前は,在留外国人が在留期間の満了の日までに在留期間更新許可等の申請をした場合において,当該申請に対する処分が在留期間の満了の日までにされないときは,在留期間の満了をもって当該外国人は不法残留となっていたところ(このことは,最高裁平成16年()第1595号同17年4月21日第二小法廷決定・刑集59巻3号376頁が,在留期間更新不許可の通知を受け取っていない外国人に係る平成16年法律第73号による改正前の法70条1項5号の不法残留罪の成否について,在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間を経過して本邦に残留した以上,不法残留罪の構成要件に該当し,違法性阻却事由の存否が問題になるにとどまるとしていることからも明らかである。),直ちに不法残留状態とするのが酷な場合があり,また,その後在留期間更新許可処分がされた場合にはその効力が遡って生じるとしていたことから,在留期間の満了の日から許可処分がされるときまでの間の外国人の法的地位が不安定になるなどの問題があったため,同改正により,この問題の立法的解決を図ったものである。そうであるところ,平成21年改正においても,在留資格を有する外国人が在留期間更新許可を申請し,従前の在留期間満了の日から2か月を経過した日の後については,何ら特別の規定は置かれていないから,従前の在留期間満了の日から2か月を経過した時点で在留期間更新の許否に関する判断がされていないときに,当該外国人が従前の在留資格をもって適法に本邦に在留していると解することはできない。したがって,仮に,在留期間更新不許可処分の効力を停止してみたとしても,在留期間更新許可申請がされたのに対し法務大臣等が何ら応答をしていない状況に復するにとどまるから,在留期間満了の日から2か月を経過した場合には,従前の在留資格をもって適法に本邦に在留しているということはできず,法24条4号ロの退去強制事由があるというほかなく,当該外国人に対する退去強制手続の進行を止めることはできない上,当該外国人は従前の在留資格において認められていた活動をすることもできないと解される。そうすると,在留期間満了の日から2か月を経過した場合には在留期間更新不許可処分の効力停止の申立ての利益は失われるというほかない。


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