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アライアンス法律事務所

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代表弁護士 小川敦也

ケース1

平成25年 2月 5日

東京地裁

平成24年(行ウ)第159号 ×

ア 原告の在留の状況について

(ア)前提事実(2)イ(イ)記載のとおり,原告は,強盗,強盗致傷及び窃盗(3件)の各犯行により懲役4年の有罪判決を受けていることが認められる。

  そして,上記各犯行のうち強盗と強盗致傷については,いずれも,夜間,被害者の女性に対して突き飛ばしたり,手提げバックを力一杯引っ張ったりするなどの暴行をし,これらの暴行によって路上に倒れた被害者から手提げバッグやハンドバッグを奪うというもので(乙2),その犯行態様は極めて悪質である上,被害者の中には入院加療75日間を要する傷害を受けた者も存する(乙2)など,生じた結果も重大である。

  確かに,原告が主張するとおり,原告は,上記の各暴行行為の直接の実行者ではないが,他の共犯者と共謀の上で計画的に役割を決めて犯行に及んだものであり,共犯者が上記暴行行為を実行している間,自動車のエンジンを掛けて待機することにより共犯者の逃走を容易にしており,強盗行為を遂行する上で欠かせない役割を果たしていることが認められる(乙2)から,暴行行為の実行者ではないことを理由として原告の立場が従属的であったとか,原告の刑事責任が軽かったと評価することは相当とはいえない。加えて,原告が上記犯行を実行した動機は遊興費を得るためという極めて安易なものであること(原告本人[9頁])も併せ考慮すると,原告の刑事責任は重いというほかなく,共犯者から犯行への関与を誘われた点や,本件裁決時までに被害者4名との間で示談が成立していることを原告に最大限有利にしんしゃくしたとしても,上記各犯行をしたことが原告に対する在留特別許可の許否の判断に当たって消極的事情として考慮されることはやむを得ないということができる。

  また,上記各犯行のうち窃盗については,被害者のハンドバッグや手提げバックのひったくりのほか,10万5000円と高価なエレキギターを上着の内部に隠してリサイクルショップの店内から無断で持ち去るというものであり(乙2),その犯行態様は,大胆かつ悪質なものである。しかも,エレキギターを窃取した行為は,道路交通法違反(無免許運転)の罪により本件略式命令を受けてから1か月も経過していない時に行われていることによれば(乙2,3),原告には本邦の法律を遵守して真面目に生活しようとする意欲に著しく欠けるといわざるを得ない(なお,原告は,上記犯行を行った動機に同情すべきものがある旨の主張をするが,生活費を得るという原告が窃盗をした動機は,窃盗行為を正当化する事情にならないことは明らかである。)。

  さらに,原告は,道路交通法違反(無免許運転)により本件略式命令を受けているにもかかわらず,日常的に無免許運転を繰り返していたことも認められ(原告本人[30頁]),かかる原告の行為は,原告の遵法精神の欠如を示す事情であるということができる。

(イ)以上によれば,原告の本邦での在留状況は極めて悪く,このような原告の在留状況が本件裁決における在留特別許可の許否の判断に当たり消極事由として考慮されることはやむを得ないということができる。


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